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これからは衛気を強化し、病気の発症を未然に防ぐことを心がけていきたいものです。
衛気が不足するということは、皮膚とともに粘膜でのバリア機能も弱くなるわけであり、当然、鼻やのどなどからの病原菌やウイルス、アレルゲンなどの侵入が容易になります。
そして、アレルギー反応により鼻水、鼻づまり、くしゃみなどが出るようになります。
読者のみなさんにも思い当たる節があるのではないでしょうか。
治ったようでいて、グズグズしている風邪ぎみの状態に悩まされたり、いつでも鼻水やくしゃみをしている友だちが周りにいたりするのではないでしょうか。
おそらくは、いずれもが衛気が充分に能力を発揮できていない体になっているものと見られます。
全体を包むバリアのように、体を前線で守ってくれるはずの防衛システムが破られてしまい、敵病邪は確実に中枢部を狙っているのです。
静かに危機が忍び寄っており、いつ発病してもおかしくない状況にあると認識したほうがよいでしょう。
衛気が不足すると、気温の変化に体がついていけなくなります。
そのため、免疫力が落ちます。
そして風邪をひきやすくなります。
怖いのは、繰り返して風邪をひくことです。
ご存じのように「風邪は万病のもと」、重大な病気への引き金となり、時として命にかかわる事態へとつながるのです。
近年、増大の一途をたどっている花粉症の場合、皮膚や粘膜を巡回している衛気のパワーが弱くなることで、バリアが破られるとともに免疫力のバランスが崩れてしまい、発症してしまうと考えられています。
また衛気の不足は、体のむくみやリウマチなどの病気にもつながり、じんましんや皮層病などの発病も考えられます。
それでは、衛気が不足すると、いったいどのような症状が出てきて、やがては病気へ発展するのでしょうか。
衛気虚、とは、自然老化やその他の多様な原因によって引き起こされる皮層や粘膜機能の低下であり、免疫力が弱くなった状態のことです。
また、自然界への順応能力が落ちてしまい、体の内部と外部の環境との平衡が乱れてしまうことを指します。
国の防衛にたとえるなら、国民を外敵から守るための兵士がいない状態とでもいえるでしょう。
四方を海に囲まれた日本列島の海岸線に、外国の兵士や不法入国者が自由に出入りしている恐ろしい状況を想像してみてください。
あるいは自分の家の防犯でいえば、窓や玄関のドアにカギがかかっていないという状態です。
そこでは泥棒は勝手に盗み放題の無防備状態というわけです。
衛気虚になってしまった体の変調として、まずとりあげておきたいのは、汗の問題です。
外気がさほど暑くもないのに、汗をだらだらと出している人を見かけますが、これこそ衛気虚の代表的な症状だといえましょう。
中医学では、汗の働きは皮層が持つ機能のひとつとしてとても大事なものと考えられてきました。
体の水分(体液)は、汗に変わることで多くの熱量を吸収できます。
また体液そのものの温度の上昇は大きくないという利点もあります。
血液の中で水分は80%を占めており、血液循環により素早く体全体を巡り、体温の調節に役立っています。
中医学では、体内の水分は人間にとって大事な「津液」(有用な水分)として体の隅々を潤し、滋養作用を持つものと考えます。
つまり、体に重要な作用を及ぼす水分が汗となって出てきているのであり、安易に消耗してはいけないということになります。
衛気が不足すると発汗をコントロールできなくなり、汗とともに気も流出するため、衛気がますます消耗していく、そういう悪循環に陥ってしまいます。
衛気虚になると、体温調節機能が変調をきたすことから、いわゆる皮層温度が下がって寒がりになり、寒さに抵抗できなくなってしまいます。
そうなると、風邪をひきやすくなります。
そして、いったん風邪をひいたらそれがダラダラと長びき、スキッと回復しない状態になります。
これは、熱エネルギーが不足することにより、皮層や組織を温める機能が弱くなってしまうからです。
それに、衛気がコントロールしているところで、現代の日本人の普段の生活ぶりには、この衛気不足の状態を招く原因がたくさんあります。
例えば衣食住を見てみましょう。
季節に関係なくよく見られる薄着、これは体のエネルギーを必要以上に消耗しているのです。
冬の寒い季節にも、ファッション重視による薄着の人が少なくありません。
夏はさらに肌の露出が多い姿で、冷房のよく効いた部屋にいるのをしばしば見かけます。
食生活はどうでしょうか。
日本人は、冷たいものや生ものを好んで食べます。
これは体を芯から冷やすことになり、体を温めるエネルギーを消耗してしまうことになります。
この食生活とも密接に関係しているのが、高温多湿という気候風土です。
中医学で「気」あるいは「陽気」と言いますが、これは体を温める熱エネルギーのことを指します。
日本のじめじめして蒸し暑い気候では、常に発汗により、この気が体から抜けてしまいがちになり、毛穴の開閉による体温調節機能も失われます。
つまり、毛穴が常に開いている状態になってしまい、外の気温がそれほど低くなくても、寒さを感じることになってしまうのです。
体力が落ちてしまって体がだるくなると考えられるのです。
体質の弱い人が発汗力の強い風邪薬を服用した場合も、衛気虚を招く原因となります。
また、冷暖一房が完備された環境は、皮層の持っている環境適応能力を退化させてしまいます。
それが衛気虚につながるのです。
さて、「衛気」については、現代病の治療面から最近注目されてきており、意欲的な研究成果が発表されてきています。
ここではその一端を紹介します。
漢方医学の本場中国では、これまでさまざまな学者や医師が研究してきており、その資料は膨大です。
最近の別年間をとっても、資料は山ほどあります。
多くの専門家がさまざまな分野でそれぞれの角度から、衛気の本質や衛気を強化する治療方法について研究してきました。
中国・広東省広州中医薬大学の区永欣教授もそのひとりです。
「人はどのようにして環境に順応していけるのか。
外界の変化によって病気になることを考えると、衛気こそ人体が環境に適応できるもの、といわれてきている。
現代においては、衛気が中医学にとって最も重要になってくる。
これが私の研究の出発点だ」。
区先生は、なぜ衛気の研究を始めたのかについて、こう語っています。
そして、衛気の生理機能として、区先生は次のようにまとめています。
①エネルギーの供給と体温調節。
②気候など外部環境に対する適応能力の維持。
③病邪に対する防衛機能。
④昼夜の生理的リズムの制御。
つまり衛気とは、環境に対する総合的な適応能力であるといえるのです。
衛気があるから、人体は環境に順応できる。
衛気が足りないと引き起こされる症状は、実験によって確認された。
正常な動物の体温というのは、体温調節機能により、環境温度の大きな変化があっても一定の温度に保たれるもの。
しかし、衛気虚の動物モデルでは寒暖の変化に対して体温を一定に保つことができなくて、体温が大きく変動したのです。
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